現在のページ:TOPページ > 医療ジャーナリスト丸山寛之氏が綴るヘルシーコラム「ひとこと養生記」
3月9日=3(ミャ)9(ク) =は、脈のチェックを呼びかける「脈の日」。通常、心臓は1分間に50〜80回前後の脈を規則的に打ちます。このリズムが崩れる状態が「不整脈」。いろいろな種類があります。
不整脈は、安静時に100回を超える「頻脈」、50回未満になる「徐脈」、脈がとんでリズムが乱れる「期外収縮」に大別されます。
不整脈が怖いのは、突然死につながる恐れがあるためで、最も怖いのは「心室細動」です。
心臓の下半部にあって血液を動脈に送り出す心室がけいれんし、脈拍が数え切れないほど速くなります。脳に血液が行かないので10秒前後で意識が遠のき、10分間続くと脳死になってしまいます。一刻も早くAED(自動体外式除細動器)による電気ショックで心肺蘇生をする必要があります。
脳に血栓が行き脳梗塞を招く「心房細動」もふえています。心臓の上半部にある心房が、小刻みに震える高齢者に多い不整脈です。
血液をきちんと送り出すことができず、心房に血の流れが滞り、血栓(血の塊)ができやすく、それが血流に乗って脳に運ばれて血管を詰まらせると、脳梗塞になります。
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「心臓の鼓動─それはあなたの健康リズム」は、WHO(世界保健機関)の、ある年の世界保健デーのスローガンでした。
生まれてから死ぬまで休みなく働きつづける心臓は、心筋という特別な筋肉でできています。
この心筋に血液(酸素と栄養)を供給しているのが、心臓を冠状に取り巻いている3本の大きな血管(冠動脈)です。
冠動脈の一部が狭くなって、血液が流れにくくなるのが、狭心症。狭くなったところに血栓が詰まって、血流がストップしてしまうのが、心筋梗塞。まとめて虚血性心疾患と呼ばれます。虚血とは、血液が虚する(不足する)という意味です。
虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)のもとになるのは、動脈硬化です。
動脈硬化の危険因子は、高血圧、脂質異常症、糖尿病、肥満。かつては「死の四重奏」といわれました。メタボリック症候群のことです。
四つのうち一つ持っている人は、持っていない人の1.5〜2倍、心臓病になりやすく、複合すると数倍になるといわれます。
これを防ぐ12カ条─。
1 血圧と血中コレステロール値を正常に保つ。
2 脂質の摂取は、良質の植物油と魚油をバランスよく(おすすめは「カメリナオイル」)。
3 塩分は控えめに。
4 甘い物を食べ過ぎない。
5 栄養のバランスのよい食事を。
6 腹七〜八分目に。
7 日常適度の運動を(努めて歩く)。
8 十分な睡眠(一日7〜8時間)。
9 ストレスを上手に発散。
10 適正飲酒(清酒なら1合程度)を守る。
11 禁煙または節煙。
12 毎年1回は健康診断。
こうした生活を心がけていれば、心臓のみならず全身の健康を守ることができます。