現在のページ:TOPページ > 医療ジャーナリスト丸山寛之氏が綴る辛口コラム「それ、ウソです。」
東京都板橋区の渡邊彌生さん(89)は今年6月、最高齢で準2級に合格した。一昨年11月に「面白そう!」と受けた3級に合格して以来、受験を続けている。「ビタミンKとかHCCAPとか、知らない言葉を学べるのが楽しくて。3級の成績はすごく良くて、『ラクなもんだわ』といきなり1級を受けたら、まるで歯が立たなかった」と笑う。(『まなあさ まなぶ@朝日新聞』豊かなことば、人生に彩り 語彙・読解力検定=朝日新聞2014年8月27日)
はて、HCCAPって何? 同じ老生の当方も「知らない言葉を学」ぶ「楽し」みの一端に触れてみたく、『外来語略語辞典』『現代用語の基礎知識』『新聞用字用語集』『科学用語辞典』『最新医学大辞典』『医学と食品事典』……貧弱雑然たる書棚から手当たりしだい引っ張りだしてはページをめくってみたが、全部空振り。
しからば、困ったときのパソコン頼み! Google Yahoo! goo bing……次々、検索してみたが、こちらもノーヒット。
いや、Googleは、「もしかして、HACCP」と助言してくれて、Yahoo!やgooなどはドサッと出てきて、おおっ! とヨロコんだけど、よく見たらどれも「HCCAP」ではなくて、Googleのいう「HACCP」だった。
HACCPとはなにか? 以下、ウィキペディア、厚生労働省、食品産業センターなどの解説をとりまぜて抄録─。
HACCP(ハサップ:Hazard Analysis and Critical Control Point)は、1960年代に米国で宇宙食の安全性を確保するために開発された。
食品の製造・加工のあらゆる段階で発生する恐れのある微生物汚染などの危害(Hazard)をあらかじめ分析し(Analysis)、製造工程のどの段階でどのような対策を講じるべきか、重要管理点(Critical Control Point)を定めて、これを連続的に監視し、製品の安全を確保する管理手法である。
国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機構(WHO)の合同機関=食品規格委員会が、各国にその採用を推奨している。
従来、食品の安全性は、製造する環境を清潔にすれば得られるだろうと、製造環境の整備や衛生管理に重点が置かれてきた。
そして、製造された食品の安全性の確認は、主に最終製品の抜き取り検査により行われていた。だが抜き取り検査だけでは、危険な食品が市場に出て、食中毒を引き起こす可能性を完全に排除することはできない。
HACCP方式は、従来の考え方ややり方に加え、原料の入荷から製造・出荷までのすべての工程の重要管理点を特定し、そのポイントを継続的に監視・記録し、異常が認められたらただちに対策をとり解決する。不良製品の出荷を未然に防ぐことができるシステムである。─以上、コピペ終り。
たぶん、上掲記事のHCCAPは、HACCPとするつもりの「A」の位置を打ち損なったのだろう。その誤植を、デスクも校閲も見落としたのだろう。つまり新聞制作の“コントロールポイント”がきちんと機能しなかったわけだろう。
話はいきなり飛躍するが、先ごろの、あの「慰安婦問題」にしても、一人の記者の「情報は必ず裏を取る」という基本的な取材手法の欠如に端を発して、それをチェックすべきデスク、部長などの重要管理点をあっさり通過してしまった、いわば報道におけるHACCPの