現在のページ:TOPページ > 医療ジャーナリスト丸山寛之氏が綴る辛口コラム「それ、ウソです。」
NHKの健康番組で木田
いいえ、「
呼吸器内科のすぐれた専門医である木田医師(日本医科大学教授)が、そんな言い間違いをするわけはないので、これは松平監督の聞き違いだったのでしょうね。
COPDは、英語の
以前は、
だが実際にはこの二つの病気は混在しているケースが多く、明確に分けることが難しい。
世界の専門家会議は、二つをまとめてCOPDと呼ぶことにし、2001年、「COPDの診断、管理(治療)、予防のための国際ガイドライン」を発表した。
WHO(世界保健機関)と世界銀行の調査では、全世界の死亡原因に占めるCOPDの順位は、1990年は第6位、2004年には第4位である。
しかし、最近は割合よく知られるようになっているが、当初は一般の人だけではなく、医師のあいだの認知度も低かった。
事実、上掲の文によれば、松平氏が階段や坂で息苦しさを感じるようになったのは60歳のときで、「何人かの医師」に診てもらったが、「心電図もレントゲンも問題なく、『六十歳だから息切れぐらい当然ですよ』と慰められて終り」だった。
偶然、テレビで知った木田医師の診察を受けてCOPDとわかり、こう述べている。
「この時は実にスッキリした感じだった。約十年間、老化現象か病気かで悩んできた症状に診断がついたのだ。バレーボールでも、敵さえ判れば戦いようは必ずある。『COPDは完治しません。しかしこれ以上悪化しないよう、人生の質を大切にしていきましょう』と言う木田先生に、『これからはあなたが監督、私が選手です』と指導をお願いした」。
そして適切治療を始めて3年、「今は坂道も歩道橋もずいぶん楽に歩ける。年に六、七回は海外にも出かけ、人生の質は落ちていないどころか、むしろ上昇している思いだ」。
以来8年、「優等生患者」だった松平さんは、充実した余生を生き抜き、2011年12月31日に亡くなった。
COPDの患者の8〜9割は喫煙者なので別名「たばこ病」と呼ばれる。が、長年喫煙しているからといって、必ずなるわけではない。なるか、ならないかは、本人のもつ遺伝的な素因=感受性がかかわっている。
しかし人によって感受性が違う原因はわからず、感受性の有無を調べる方法もない。したがってだれでもたばこの吸いすぎは控えるべきである─というのが、COPDの予防・治療の基本的な考え方である。
壊れた肺は元には戻らないが、軽症のうちから適切な管理を行えば、進行を防ぐことができる。まずは禁煙。おかしい? と感じたらすぐ専門医(呼吸器内科)を受診しよう。