現在のページ:TOPページ > 医療ジャーナリスト丸山寛之氏が綴る辛口コラム「それ、ウソです。」
カイロプラクティック 手技によって脊椎のゆがみを矯正し、神経生理機能を回復する方法。一九世紀末にアメリカのパルマーが創始した民間療法。脊椎調整療法。=『広辞苑』第六版。
カイロプラクティックに関するこの解説は一般論としては妥当なものといえる。「背骨のずれを直して、病気を治す」というカイロプラクターの言葉を聞いたこともある。
だが、それは危険な誤解だ─と、整形外科の名医として知られる平林冽・慶応義塾大学医学部名誉教授は言い切った。
「背骨のゆがみを元に戻すと言われ、ゴキッとやられて、よけい痛みをひどくしたり、
慶応出身の整形外科医、松久正・鎌倉ドクタードルフィン診療所院長も、著書『「首の後ろを押す」と病気が治る』(マキノ出版)にこう書いている。
「カイロプラクティックでは、背骨のゆがみやずれを直す必要はありません。もし、カイロプラクティックと称して背骨のゆがみやずれを強制的に手技で直すようなことがあったら、それはとても危険なことといわざるを得ません。よく骨にポキッと音を立てる手技を施して、治療をしたつもりになっているカイロプラクターがいますが、これも誤解です。あれは骨のゆがみやずれが矯正されて生じる音ではありません。単に背骨の椎間関節という部位がひねられたときに、こすれて音が生じているだけなのです。しかも、この音は神経の流れにとって害になる骨の動きによって生じています」
だが、実はその松久先生は、世界でも指折りの正統派カイロプラクターで、「薬はいっさい使わず、手術もせず、首から腰にかけての背骨をさわるだけの手技療法」によってさまざまな病気を治している。
「たとえ背骨がゆがんでいても、そこを通る神経の流れがスムーズであれば、生命力は十分に発揮され、体を最良の状態に保つことができます。神経の流れの狂いを正すこと。これが私の行っている<ガンステッド・カイロプラクティック>なのです」
この本は間違ったカイロプラクティックで泣かされる人をなくすうえでも有意義だ。
渥美和彦・日本統合医療学会理事長は、「輝く人間に生まれ変わる希望がここにある」と、本書を推薦している。