現在のページ:TOPページ > 医療ジャーナリスト丸山寛之氏が綴る辛口コラム「それ、ウソです。」
老人性痴呆は、アルツハイマー型痴呆症と脳血管型の痴呆症があり、日本ではこれが七対三の比率で発生している(欧米は逆で三対七といわれている)。=水野肇「病気をだます 熟年健康法」読売新聞社刊。
いまから21年前─1989年発行の本の中の記述である。一読すると(再読、三読しても)、日本の「七」は「アルツハイマー型痴呆症」で、欧米ではそれが「三」であるというように読める。事実はそうではない。
当時、日本では「脳血管型」が圧倒的に多く、欧米では「アルツハイマー型」が老人性痴呆の大半を占めていた。
むろん、そんなことぐらい医事評論の第一人者がご存じないわけはない。筆がすべったというか、うっかり書き損なったのを、編集者も校正者も、その間違いに気づかなかったのだろう。
ところが、20年経った現在、このウソはほぼホントに変わった。というのは、その後、日本でもアルツハイマー型が増え、脳血管型は減り、欧米並みの比率に近づいたからである。
「痴呆症」という病名は、2005年に「認知症」に変更されたが、現代日本人の3大認知症は、.▲襯張魯ぅ沺七殖毅亜鵝↓脳血管型20%、レビー小体型20%─といわれている。
簡単に説明すると、,惑召凌牲从挧Δ変性し脳が萎縮するために起こる。△惑召侶豐匹詰まる脳梗塞がもとになるものが最も多い。はレビー小体と呼ばれるたんぱく質のかたまりがたまって、神経細胞が変性するために起こる。約30年前、日本人の研究者によって報告され、1995年に国際的な診断基準ができた。まだあまり知られていないため、正しい診断、治療を受けられずにいる人も少なくないようだ。
そこへもってきて、近年、ピック病という新手の難敵が注目を集めている。40~64歳に発症する若年認知症ではアルツハイマー病に次いで多い。これが他の認知症と異なる特徴は、初期には記憶障害(物忘れ)はほとんどみられないが、他人を顧みず自分勝手な言動をする性格変化や社交性の消失、物事への無関心、ワンパターン行動が目立つ。抑制が欠如し、万引きなどの軽犯罪を犯しても、なぜ悪いか説明できない。やがて物忘れも出てきて、話したいのに言葉が出にくく、同じ言葉を繰り返し、言葉の意味がわからなくなるなどの言語障害も現れる。
若年認知症は、働き盛りに発症するため周囲への影響が大きい。異変に気づいたら産業医や認知症の専門医に早めに相談しよう。