現在のページ:TOPページ > 医療ジャーナリスト丸山寛之氏が綴る辛口コラム「それ、ウソです。」
人の体には
これをウソだと決めつけるのはすこしコクかもしれない。しかし、まったく正確だともいえない。
人間の体温は、1日のうちでも高くなったり低くなったり、いわゆる「日内変動」をする。普通、朝起きたときの体温は低く、以後徐々に上昇して、午後1時〜3時ごろに最高になる。そのあと徐々に下がって、午前2時ごろ、つまり真夜中には最低になる。健康な人の1日の最高と最低の体温の差は通常1℃以内である。
体温のみならず、人間の体のさまざまなはたらきは、約24時間を周期としたリズムで変化している。そのリズムを「サーカディアンリズム(
夜になると眠くなり、朝がくると目が覚める。体温や血圧や脈拍は夜に低くなり、朝から昼下がりにかけて高くなる。ホルモンには昼間に分泌がふえるものと、夜間にふえるものとがあり、それが逆転することはない。
そうした体のはたらきの規則性=生体リズムをつくりだし、コントロールするために、体のなかには「体内時計」と呼ばれるしくみがある。
地球は約24時間の周期で自転し、昼と夜とが交互に訪れる。その地球の環境に適応するためにすべての動物、植物、ありとあらゆる生命が、約24時間の生体リズムをつくりだす体内時計をもっている。地球上で生命が活動していくための基本的な機能である。
最近、この生体リズム、体内時計を、病気の治療や健康管理に応用する「時間医学」が注目を集めている。
時間医学の成果のひとつに「体内リズム服薬法」がある。同じ薬を同じ量だけ使用しても、のむ時間によって薬の効きめがましたり、副作用が出にくくなったりする。薬が効きやすい時刻をねらって投与することで、さまざまな病気に対する有効性が証明されている。がん患者の生存率が顕著に改善したという報告もある。
病気の発症にもリズムがある。心筋梗塞や脳梗塞などの血管の病気は、朝の8時〜10時ごろ最も起こりやすく「魔の時間」といわれる。
それにはいくつもの悪条件が重なっている。まず就寝中、意識されないまま汗をかき水分が失われ(
さらに悪いことに、体にはt‐PAという物質があり、固まった血液を溶かす作用をしているのだが、朝はそのはたらきが落ちる。t‐PAを分解してしまう物質の分泌が早朝にふえるからだ。で、朝は血液が固まりやすく、いったん固まると溶けにくくなる。
朝を健やかに迎える心得として、ぜひ実行していただきたいのが、夜寝る前と朝起きてすぐコップ1杯の水を飲むことだ。私はそのさい、血液さらさらサプリの「梅肉黒酢」を2粒ずつのんでいる。
冬場は寒冷刺激による血管の収縮、血圧の上昇が起こる。一年中で最も危険な季節である。どちらさまもこのうえともご用心、ご自愛ください。